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保険の営業にノルマはある?転職と退職のための概要

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仕事を辞めたいと思いながら求職サイトを閲覧していて、保険の営業の募集をご覧になった方は多いのではないでしょうか?中には、知人や友人から「一緒に保険の営業をやらないか?」と誘われた経験のある方もいらっしゃるかもしれません。

また、反対に保険の営業をされていて現在転職を考えられている方もいらっしゃると思います。

保険の営業職といえば、ノルマが厳しい、固定給が少ない、休日が取れない、など世間的にはネガティブな印象を持たれています。また、非常に離職率が高い業界でもあります。

今回の記事では、保険の営業に関する実情を把握し、現在保険の営業をされていて転職を考えられている方、他業種からの転職を考えられている方の判断材料にしていただけたら幸いです。

1.保険の営業にノルマはあるの?

保険の営業を転職の候補とするか否かの判断をする際の大きな心配の種は、「ノルマがあるのか」ということではないでしょうか?

ノルマは、達成できなかったときに会社に居場所がなくなる、収入が減る、毎晩終電まで仕事しなければならない、上司から厳しく叱責される、など様々なネガティブなイメージがつきまといます。

1-1 ノルマの有無について

結論を言えば、保険の営業ではノルマはあると考えたほうが良いでしょう。

独立行政法人労働政策研究・研修機構が2016年に発表したアンケート調査によると金融・保険業界に勤める若手社員のうち21.9%が、「職場の問題としてノルマや成果、進捗管理」を職場の問題や課題として挙げています(この数値は、金融業界や営業部以外のスタッフも含んだ数値のため、生命保険の営業に絞れば、さらに高まる可能性が高いでしょう)。

この数値は、他の業種よりも突出して高く、同アンケート結果のレポートにおいても「金融・保険」業は働く若者の心理的負荷が非常に高い、と報告されています。

会社によって体質は少しずつ異なりますが、「ノルマなし」をうたっていても、給与の割合として成果による部分が大きいのが実情です。基本給が少なく歩合給の割合が大きいので、売り上げを上げないことには生活が成り立たなくなるケースもあります。したがって、数値上は21.9%ですが、ノルマのない保険営業はない、と考えておいてください。

特に外資系の保険会社ではその傾向が強く、入社後2年、3年と経過するにつれ固定給の割合が減り、歩合給の割合が増す仕組みを取っている企業が多いです。

1-2 ノルマ=目標

「ノルマ」という言葉はネガティブな印象が付きまとうため、「目標」という言葉で言い表される場合もあります。ですが、目標とうたっている場合でも、未達成が許されない雰囲気であるなど、実質的にはノルマであると考えた方が良いでしょう。

新規開拓の営業の場合は、保険業界に限らず目標の設定があり、達成のためのプレッシャーはありますが、保険業界の場合にはそのプレッシャーが他業界に比べて極めて高い、というのが現状です。

1-3 ノルマ未達成の場合

歩合給がもらえず収入が減ってしまう以外にノルマが達成できないことでのペナルティはあるのでしょうか?

実際に保険会社に勤めていた方々の声を集計すると、以下のようなペナルティがみられたようです。

・上司からの厳しい叱責

・自分自身、家族や身内の自社商品加入の強要

・(サービス)残業や休日の返上

・周囲からのプレッシャーにより会社に居づらくなる

・減給

給与査定の有無をさておき、ほとんどのケースで、上司や周囲からの叱責や低評価のレッテル付けがなされ、会社に居づらくなる、実質上のクビという状態になってしまう、という状況がみられます。

1-4 来店型保険ショップは?

ここ10年くらいでよく見かけるようになった、来店型の保険ショップではどうでしょうか?求人募集要項を見ても、「リアクション営業」「ノルマなし」と記載されているケースが多いので、『来店型のショップなら・・・』と考えている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、来店型といえども契約をたくさん取らなければなりたたないことに変わりはありません。絶えず来客のある店舗ならともかく、ほとんどのショップでは集客のためにイベントを企画・開催したり、電話営業を行ったり、近隣にビラ配りに行くなどの営業活動が必須です。

2.保険の営業の実態とは?

生命保険会社の営業職は、入社後3年以内の離職率が5割ともいわれ、定着率の悪い仕事であることも知られています。

ここでは、ノルマ以外の観点から、生命保険の営業職の実態について検証します。

ちなみに、上場している保険会社の平均勤続年数のデータを確認すると、第一生命(14.4年)、日本生命(10.0年)と極端に低い数値が出ているわけではありません。しかし、これらは営業職員以外のスタッフも含めたデータであり、実際に営業職として働いていた方々の声としては、冒頭の通り、出入りが激しいという実感を持たれているのが現状です。

入社後十年で90人いた同期入社組の9割が退職していた、という元従業員の方の声もありました。

2-1 営業手法は属人性が強い

保険の営業に関して、会社としての営業ノウハウや手法が確立している会社は少なく、属人性の強い仕事であるといわれています。スタッフの入れ替わりが多いこともあり、丁寧な指導やマニュアルが期待できず、営業マンは自身で営業手法を確立することが求められます。

近年、コンプライアンス(法令順守)や個人情報保護が厳しくなり、「契約さえ取れればOK」というスタイルは見直されつつありますが、いまもなお契約件数至上主義という面が強い傾向が見えます。

2-2 スキルアップが難しい

保険は、商品の内容が非常に複雑なことや上述の通り営業手法が個々に委ねられていることから、営業スキルやビジネススキルの向上が難しいという側面があります。どうしても、商品知識を学ぶために時間が奪われ、営業手法についてスキルアップするよりも足で稼ぐことが優先されがちなためです。

特に、20代、30代の若手営業マンは、スキルアップの難しさがストレスになる方も少なくありません。

2-3 交通費や諸経費が自腹負担

保険会社に勤める営業マンが不満に思っている点として、顧客先への交通費やお礼の品などの諸経費が自腹負担になる、という点です。一般的に業界を問わず、ほとんどの職種でこれらは経費として会社に請求できるものです(あるいは、会社からチャージ済のICカードを貸与されます)。

しかし、保険会社ではこれらが実費になってしまうため、その分も含めて利益を上げなければ割に合わなくなります。

2-4 稼げる営業マンはしっかり稼げる

実績重視ということから、年収1,000万円を超える「稼げる」営業マンも珍しくありません。厳しいノルマを課せられながら、そういった上司や先輩の姿を夢見る若手社員も多いです。

歩合給の反対側の側面にもなりますが、しっかり実績を残せる営業マンにとっては、悪いことばかりというわけでもありません。

3.どんな人が保険の営業に向いているか?

では、稼げる営業マンとはどのような方でしょうか?どのようなスキルに自信があれば、保険業界でやっていけるでしょうか?

以下に保険会社の営業で成功するためのスキルや特徴を記載します。かなり高度にこれらのポイントを要求されますので、逆に言えばこれらの要件を満たせば、どの世界でも活躍できるくらいのものが求められます。

3-1 ストレス耐性

ストレス耐性は、どんな仕事をするときにも必要とされますが、ノルマ(目標)達成のプレッシャーが強く、高額商品を取り扱う生命保険の営業は、特に強いストレス耐性が求められます。働き方にもよりますが、勤務時間がお客様の都合に左右されるケースも多いため、自由に休日を設定しづらい部分もあり、リフレッシュがうまくできるスキルも重要です。

営業スキルが高くても、ストレスが溜まってしまうと体調を崩したり、パフォーマンスが低下したりするので成果を上げられません。

3-2 営業で成果をあげられること

保険会社では、契約が絶対的な指標になります。成果が上がらなければ、どんなに一生懸命仕事をしていても評価されない世界です。

成果を上げるためにはさまざまな要因がありますが、逆に言えばさまざまな手法で成果を上げている方がいるのでご自身にあった営業スタイルを身に着けることが重要です。

バイタリティと行動量で新規案件をとにかく足で稼ぐスタイルの手法もあれば、うまく紹介が広がる仕組みづくりをして紹介で稼ぐ手法もあります。元気・明るさはあるに越したことはありませんが、それだけが良い営業マンの条件でもありません。

3-3 ビジネススキルが備わっていること

保険会社では、営業スキルの属人性が高いと記載しましたが、ビジネススキルについても同様です。特に中途での採用の場合には、丁寧なフォローや研修も少ないと思いますので、ご自身でしっかりスキルを身に着けておく必要があります。

身だしなみや清潔感、言葉遣い、ビジネスマナーなどが欠けていると顧客からの不信感につながり、結果的には契約がとれない、という事態につながってしまいます。

3-4 勉強熱心で自分に厳しいこと

保険の営業職は、ノルマ(目標)に対する厳しいプレッシャーはありますが、スキルアップや目標設定、仕事の進め方については、個々のスタッフに委ねられているケースが多いです。

したがって、自ら商品知識をきちんと学び、目標達成のために自律的に行動できる方が、ノルマを達成し、多くの収入を得られるようになる傾向があります。

4.保険の営業からの転職に関して

保険の営業から他の職種に転職をする際の有利な点や不利な点について解説します。

4-1 保険の営業から転職するときに有利になる点

以下の点が有利な点として考えられます。

・保険の営業=厳しいという世間のイメージがあるので、売り上げをしっかり残した方は転職時にご自身の営業力の高さをアピールできます。

・長期間務めた方は、ストレス耐性が強い、社交性が高い、というイメージにもつながります

・差別化の難しい保険商品を販売した経験は、営業マンとしての自信にもつながります

・入社後のメリットとしては、厳しいノルマや不規則な長時間労働から解放され、働く意欲が高まりやすいでしょう

4-2 保険営業から転職するときに不利になりうる点

以下の点が不利になりうる点です。

・職種や実態にかかわらず、短期での退職や営業実績の乏しさは、転職時にマイナス評価の要因になります

・専門性の高い商品であり、営業手法の属人性が高いことから、異業種に転職する際にはスキルがそのまま生かしづらい側面があります

・不規則、長時間労働を強いられている場合、働きながら転職活動を行うのが難しいでしょう

5、まとめ

保険の営業に関して、「ノルマ」という観点からその実態や転職の是非を検証しました。

実際に「ノルマ」という言葉を使うにせよ使わないにせよ、現状も保険の営業では契約が取れるか否かという点が評価要因の大半を占めています。ですので、ノルマ(目標)が達成できるか否かが、仕事をする際の満足度に大きく影響します。そして、その達成のためには、どこに行っても通用するほど高い営業スキル、ビジネススキルが求められます。

保険の営業からの転職を考えられている際には、実績や勤続年数が評価の基準になります。20代半ばまでの若い方はポテンシャルを重視される傾向にありますが、20代後半、30代の方で実績が乏しいと面接時のアピールがやや困難になります。これから保険の営業を一度経験してみようと思われている方も、絶対的な自信がある方を除いて退職時の状況について想定したうえで判断されることをおすすめします。

契約が取れれば、収入という点では魅力的な仕事

ですので、ご自身に合っているか否かを慎重に見極めてください。

引用

①独立行政法人労働政策研究・研修機構「若手正社員の過重労働にみる業種特性」

https://www.jil.go.jp/institute/reports/2016/documents/0185_03.pdf

JILPTリサーチアイ第17回「若手正社員の過重労働にみる業種特性」|労働政策研究・研修機構(JILPT)
JILPTリサーチアイ 第17回「若手正社員の過重労働にみる業種特性」 著者:高見 具広

②キツい営業ノルマに苦しむ営業マン20人にインタビューしてわかった営業のノルマの実態(個人blog)

キツい営業ノルマに苦しむ営業マン20人にインタビューしてわかった営業のノルマの実態 | 営業ハック
営業はキツい、辛い。そんなお話をよく聞きます。どんな部分が辛いのか、なぜ辛いのかをインタビューでまとめてみました。環境がどうしても変わらないのであれば、転職も1つの手。参考になれば嬉しいです!

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