
新卒採用・中途採用に関わらず、必ず通過しなければいけない選考過程が面接です。企業と応募者が直接顔を合わし、お互いのことを知り合う貴重な機会でもあります。
当然、応募者にとって、自分の合否に関わる面接は緊張する機会です。
ありのままの自分や入社意欲、仕事に対する熱意を伝えるためには、事前準備や面接におけるマナー遵守を含めた、面接の流れを理解しなければいけません。
今回は面接で合格を勝ち取るための面接の流れを中心にお伝えします。
1.面接は事前準備が肝心!
面接はきちんと事前準備を行うことで、合格率が高まります。
就活生であれば、選考期間が始まるまでに企業・業界の研究や面接・グループディスカッションの練習、自己分析の時間が確保できます。
一方で、転職希望者の場合、現在の会社業務を遂行しながら、面接の事前準備をしなければいけません。
そのため、転職希望者は手間を省く上でも、面接の全体の流れを把握しておきましょう。
「なぜ転職したいのか?」
「なぜその企業で働きたいのか?」
「自分の今までの能力や経験をどのように役立てたいか?」
などの自己分析に加え、面接に必要なスーツやカバン、服装・髪形のチェック、ビジネスパーソンとしての最低限マナーなども事前に確認しておきましょう。
2.面接開始から終了までの流れ
面接の事前準備を行う上でも面接の流れを把握しておくことは、面接対策を立てやすく、効率的に準備を進められます。
一般的な面接は、以下の流れで行われます。
- アイスブレイク
- 自己紹介
- 職務経歴の紹介
- 志望動機
※中途採用の場合は、転職理由も尋ねられます。
- 条件の確認
- 企業への質問
中途採用の場合、所要時間は約60分前後と考えておきましょう。
今回は上記の項目内容に従って、詳細を解説いたします。
2-1.アイスブレイク
面接では、応募者の緊張をほぐすために、アイスブレイク(軽い雑談)の時間が設けられています。アイスブレイクでは、その日の天気や訪問経路といった何気ない日常会話が一般的です。そのため、緊張せずに会話を楽しむようにしましょう。
2-2.自己紹介
自己紹介はその後に続く職務経歴や志望動機(転職理由)につなげやすいため、アイスブレイクの代わりに促す場合もあります。
そのため、自己紹介はコンパクトにまとめて、手短に済ませましょう。
簡素過ぎず、長過ぎないように工夫することが大切です。
自己紹介の中に職務経歴や志望動機の内容を少し含ませておくと、自分の適性やアピール内容に自然と興味を持ってもらえます。
2-3.職務経歴の紹介
ほとんどの企業が応募書類の提出の段階で、職務経歴書の提出を求められます。
そのため、採用担当者は予め職務経歴の概要を把握しているので、経歴の読み上げといった冗長的な説明は避けましょう。
募集要項の能力やスキルを中心に職務経歴を説明すると効果的です。
また、職務経歴は質疑応答の過程で、現在の仕事での最も高い実績や成功体験を聞かれることがあります。
その際には、以下のポイントも絡めて伝えましょう。
- プロジェクトの業務内容や規模
- プロジェクト内の立場や役割
- どのような成果を残し、経験を積んだか
上記の内容を時系列にまとめた上で、端的に伝えましょう。
また、成功体験だけでなく、失敗した体験や苦労した点なども質問されます。
これらの質問の意図は
「失敗経験を通して、何を学んだか」
「どのような考え方・工夫を通して、困難を乗り越えたか」
を評価したいと考えられます。
特に成長産業や先行きが不透明な業界への就職・転職をする場合は聞かれる可能性が高いので、きちんと説明できるようにしておきましょう。
2-4.志望動機(転職理由)
新卒採用では、志望動機だけ用意すれば、問題ありません。
一方で、転職希望者は志望動機の他に、転職理由も準備しておく必要があります。
【志望動機のポイント】
志望動機は「入社意欲の高さ」を問われています。
また、「今までの知識や経験を自社にどのような貢献をしてくれるか」が重要視します。
一方で、企業規模や経営の安定性の他、福利厚生の充実度、給料の高さ、休日の充実などの待遇面を根拠とする志望動機は最も忌み嫌われますので、注意しましょう。
また、競合他社にも当てはまるような志望動機も希望する企業への入社意欲が感じられません。
自分の現状をきちんと整理し、将来のビジョンやキャリアプランをしっかりと説明した上で、入社の熱意を伝えることが大切です。
【転職理由のポイント】
転職理由は「自分自身のキャリアプラン」を伝えることが目的です。
そのため、自己紹介や職務経歴、志望動機の内容を踏まえた上で、将来の展望を伝えましょう。
「職場環境が悪かった」
「人間関係が良好ではなかった」
「給与・福利厚生などの待遇面が不満」
などはマイナスの印象を与えてしまうので、避けましょう。
転職理由は、今まで伝えた志望動機や職務経歴の事実に一貫性があるか、整合性が取れているかを確認する上で質問されます。
転職理由は、採用担当者にとって、応募者が伝えていないマイナスの情報を得る、または応募者の人間性や忍耐力、先見力の有無を判断できます。
自分の描くキャリアプランをきちんと説明できれば、採用担当者もそれ以上踏み込んだ質問をしてきません。
そのため、キャリアプランはきちんと整理し、明確にしておくことが大切です。
2-5.条件の確認
業界によっては、平日の業務だけでなく、深夜・休日出勤が発生する可能性があります。
また、育児の復帰も兼ねた転職の場合、勤務時間や出社可能日、希望勤務地などもヒアリングされやすいので、事前に条件を固めておきましょう。
最終面接では、給与や賞与などの待遇面での条件も確認されます。
実際の面接現場では、希望の条件を伝えにくい雰囲気がありますが、希望を伝えないことで、後々に不満が高まり、トラブルの元となってしまいます。
そのため、応募前に労働条件はきちんと確認しておくことが大切です。
また、給与や賞与といった待遇面は企業側の提示を待った上で、自分の意見を伝えましょう。
希望する給与金額に不満がある場合は、提示金額の理由を尋ねることで、場の雰囲気を崩さずに疑問を解消できます。
しかし、企業は評価制度に則って、金額を提示していることがほとんどです。
評価制度や給与テーブルの仕組みについて、質問してみるのも良いでしょう。
2-6.企業への質問
志望動機や職務経歴、自己PR、採用担当者からの質問が終われば、応募者から企業側への質問を促されます。
企業への質問有無は入社意欲の再確認や自社への理解度を確かめる機会と認識されています。
また、応募者との認識の乖離を防ぎ、入社後のミスマッチも防ぐ役割もあります。
面接中での疑問点や入社後の不安を解決するために積極的に質問しましょう。
2次面接では直属の上司が、最終面接では事業部責任者および執行役員が面接官を務めることも珍しくありません。
実際の職場で働く方との貴重なコミュニケーションの機会ですので、事業方針や職場環境、業務内容といった、現場の人達だからこそ聞ける質問をしましょう。
3.面接で気をつけたい入退室のマナー
面接の中心となる志望動機や職務経歴、自己PRの準備は必要不可欠です。
しかし、社会人としての最低限のマナーの確認も忘れてはいけません。
これらのマナーは応募者の第一印象を決定づける要素となるため、きちんと理解し、問題がある場合は改善しておきましょう。
「最低限のマナーを守れない応募者は、開始5分で不合格と判断する」と基準を設けている面接官もいらっしゃるので、きちんと対策すべきす。
面接においては、以下のマナーに気をつけましょう。
- 受付から待ち時間、入室、着席、退室のマナー
- 髪型・服装・持ち物のマナー
- 話し方・立ち振る舞い(態度や仕草)のマナー
これら3つのマナーを押えておけば、少なくともマイナスの印象を持たれることは避けられます。
今回はこの3つの面接マナーの概要をご紹介いたします。
3-1. 受付から待ち時間、入室、着席、退室のマナー
面接は受付から始まっています。
受付担当者や案内係の方への言葉遣いや立ち振る舞いには細心の注意を払いましょう。
「受付時点でコートを脱ぎ、携帯電話の電源をOFFにする」
「ノックは3回、面接官の案内を聞いてから入室する」
「ドアの開け閉めは、ひとつ一つを丁寧に行う」
「面接官の案内を聞いてから行動・発言する」
「相手の目を見て、しっかりと話す」
など、慌てず、ひとつずつ行動していけば、問題ありません。
3-2. 髪型・服装・持ち物のマナー
近年では、ビジネスカジュアルを推奨する企業が増えていますが、面接は原則スーツで臨むことがマナーです。
また、高価なブランドバッグやデザイン性の高いカバン、リュックサックやハンドバックといった使い勝手の良いカバンはマナー違反となるので、避けましょう。
面接におすすめのカバンは、以下の記事で詳細をご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
面接では「清潔感」を重視しましょう。
男女問わず、顔がしっかりと見えるような髪型がオススメです。
香りのきつい香水を使用しない、口臭、体臭への対策なども心がけましょう。
3-3. 話し方・立ち振る舞い(態度や仕草)のマナー
自分をアピールする場である面接では、多くの応募者が緊張します。
しかし、過度な緊張は
「目が泳ぐ」
「貧乏ゆすりをする」
「そわそわする」
などの挙動不審の原因になってしまいます。
事前準備をきちんと行うことで、過度な緊張に陥る事態を防ぎましょう。
また、面接官は応募者の緊張をほぐすために、面接開始直後にアイスブレイク(雑談)を促してくれます。
緊張がほぐれると、つい普段の口調や声量で話してしまいがちです。
面接中の受け答えがなれなれしくなると、面接官にマイナスの印象を与えてしまいます。
敬語や丁寧語の使い方を間違えないように自分の言葉でしっかりと伝えることを心がけましょう。
今回、ご紹介した面接でのマナーは以下の記事で詳細をご紹介しています。
ぜひ参考にしてみてください。
<転職での面接はマナーが全て!?必ず押さえたいマナーを徹底解説!>
4.面接で押さえておくべきポイント
面接を成功させ、希望の企業に入社するためには、押さえておきたい複数のポイントが存在します。
今回は面接に役立つ、押えておくべきポイントをご紹介いたします。
4-1. 家を出てから帰るまでが面接
先程、「面接は受付から始まる」と解説しましたが、それはあくまで採用に関わる人の視点での話です。
服装や髪型、立ち振る舞い、面接に対する姿勢、心がけの視点では、「家を出てから帰るまでが面接」と言っても過言ではありません。
このような心がけが面接での話し方や立ち振る舞い、熱意につながるということを理解しておきましょう。
また、前日の面接準備は忘れ物を防ぎ、話す内容を再確認するきっかけとなります。
他の応募者と差をつける上でも、前日の準備と当日の心がけは徹底しましょう。
4-2. 面接は練習を重ねることが大事
面接での質問内容は、ある程度、予想できます。
また、予想した質問への受け答えも事前準備が可能です。
しかし、どれだけ質問や受け答えを想定し、準備したとしても、どんな質問を受けるかは、面接中にしかわかりません。
そのため、どんな質問がされても臨機応変に対応し、的確な受け答えができるようにしておくべきです。
面接の受け答えは、模擬面接で練習を重ねることで、上達します。
転職エージェントや転職サイト主催の面接対策、大学の就職課、家族・友人に協力してもらって、面接の練習をしておきましょう。
模擬面接を繰り返すことで、自分では気がつかなかったクセや言葉使い、苦手な質問が明確になり、対策できるため、面接本番でも柔軟な対応が可能となります。
4-3. キャリアプランを中心に構成する
志望動機や転職理由、それらを裏付ける知識や経験、能力は必ず応募者のキャリアプランが関係しています。
一貫性のある、整合性の取れたキャリアプランは応募者の志望動機や実績に説得力を持たせ、入社意欲を高めます。
そのため、一度、自分自身の職務経歴やキャリアプランを整理しておきましょう。
キャリアプランを整理することで、入社希望の企業選びや、志望動機、転職理由の作成が
スムーズに進みます。
5.まとめ
面接は、企業と応募者が双方にコミュニケーションを取る貴重な機会です。
全体の流れを把握することで、対策すべき内容も明らかにできます。
また、模擬面接も含めて、面接は回数を重ねる毎に、受け答えの技術も上がってきますので、積極的に模擬面接を活用しましょう。
社会人としてのあなたの魅力を最大限に伝えるためにも最低限のマナーを押えつつ、自分のキャリアプランに基いた、十分な準備が求められます。