
派遣社員から転職し正社員雇用を目指す場合、
職務経歴書の完成度は非常に重要。
近年、派遣社員やフリーターなど、
非正規社員から正社員を目指す方が多く競争率が高くなっているからです。
職務経歴書をしっかりと作成できていないと
「正社員として雇用して大丈夫なのか・・・」と採用担当者に思われてしまう可能性があります。
ここでは、そう思われないように、
むしろ良い印象を持ってもらえるような派遣社員の方向けの職務経歴書の作成方法についてお伝えしていきます。
正社員雇用を勝ち取るためにも職務経歴書をしっかりと作成しましょう!

1.履歴書と職務経歴書の違い
まず、大前提として履歴書と職務経歴書の違いについてご説明していきます。
履歴書は学歴や経歴など自己紹介的な意味合いで書くものです。
それに対し職務経歴書は具体性を持って、
「どのように仕事をし、どのようなスキルを培ってきたか」を書くもの。
職務経歴書はあなたをアピールするための書類と言えるでしょう。
当然、書類選考で重要な意味を持つのは職務経歴書です。
履歴書と職務経歴書では見られるポイントも変わってきます。
履歴書では、
・通勤可能なエリアに住んでいるか
・転職回数などから組織に適している人材かどうか
・丁寧な字で書けているか
・学歴や職歴などの経験
・誤字脱字がないか
などが見られる点になってきます。
それに対し職務経歴書では、
・実務能力を満たしているか
・仕事に対する意欲
・職歴にプロセスや成果が語られているか
・転職理由に一貫性があるか
・自分の能力や強みに客観性があるか
・記載内容には信憑性があるか
など。
一歩踏み込んだ内容を見られるのが職務経歴書です。
例えば、履歴書にも職務経歴書にも職歴について記入すると思いますが、
履歴書の職歴には、勤務先の企業名、部署、入社日と退社日のみでOKです。
しかし、職務経歴書は一歩踏み込んだ内容を書くものです。
そのため、
・担当した業務の詳細
・業務での実績や成果
・業務を通じて身に付けたスキル
などを書く必要があります。
履歴書と職務経歴書の違いについて理解していただけたでしょうか?
ちなみに、
履歴書は「手書き」、
職務経歴書は「パソコンでの作成」が一般的となっています。
企業から特別な指定がない限りは、
それぞれ作成方法が違いますので注意しておくようにしましょう。
次以降では、もう少し深く職務経歴書についてみていきます。

2.職務経歴書を作成する前に知っておきたい3つのこと
職務経歴書を書き始める前に、
・職務経歴書がどういうための書類なのか
・職務経歴書を作成するための流れ
・職務経歴書を作成する際の注意点
これら3点をお伝えしていきます。
2-1そもそも職務経歴書とは?
先ほども少しお伝えした通り、
職務経歴書はあなたが仕事を通じて培ってきた経験、実績をアピールするための書類です。
企業からすると、職務経歴書を見る際に、
「どういうプロセスで仕事をしてきたのか」
「仕事に対する熱意」
「これからどういうキャリアを望んでいるか」
などが気になるポイントになってくるでしょう。
逆に言うと、そういった内容を盛り込めれば完成度の高い職務経歴書と言えます。
よく、職務経歴書の例文や解答例などを真似して記入する方がいますがあまりオススメは出来ません。
職務経歴書はあなたの転職を成功させるためのです。
書類選考を通過させるために書くものではありません。
そういった書き方をしてしまうと面接でボロが出てしまいます。
面接は職務経歴書を基に進められるケースがほとんどです。
そのため、職務経歴書は自分の伝えたいことを、自分自身の言葉で、作成する必要があります。
2-2職務経歴書を作成するための流れ
職務経歴書を作成する流れとしてはまず、
あなたの今までの経歴を振り返り整理する必要があります。メモに書きだしていきましょう。
具体的に言うと、
・今までどんな会社で働いてきたか
事業内容や会社の規模(売上や従業員数など)分からない点は企業のHPなどで確認する。
・今までどんな仕事をしてきたか
どの期間、どの部門で、誰を相手に、どんなことをしたかを書きましょう。
・仕事での成果
あなたの行った仕事によってどんな成果が出たのか?
売上の向上、コストの削減、集客率のアップ、リピーターの増加など。
出来る限り具体的な数字を使って書いて行きましょう。
・業務時間以外の内容
例えば、仕事のスキルアップや効率化のために、
自分で勉強したことや自分で取得した資格があればそれらを書きましょう。
・自分のスキルについて
今まで書きだした内容を基に自分のスキルについて書いていきます。
自分ができること、知識があることから考えると書きやすいです。
・その企業でどうしたいのか
転職先でどんな仕事をしたいのか、
なぜ自分はその仕事がしたいのか、
なぜその企業を選らんだのか、
など書いておきましょう。
これらの内容を振り返っていただいたのは自己分析をするためです。
振り返っていくと自分の強みが分かってくるはずです。
ビジネススキル、知識、人脈、性格、将来のビジョン、仕事への意欲、
それらを把握できることで実際の面接時にもアピールしやすくなるでしょう。
経歴を振り返って書きだす作業が職務経歴書を完成させるうえでも、
転職を成功させるうえでも一番重要な作業だと思います。
何度も申し上げますが、
転職を成功させるためには自分自身のことを自分自身の言葉で伝えなければなりません。
例文を引用しただけでは、面接時に見破られてしまいます。
振り返った上で、
なぜ転職したいのか、
今後どういった人生を歩みたいのか、
といった内容まで含めて考えていくと自分自身のことがより分かってくるでしょう。
2-3派遣社員の方が注意しておく点
派遣社員の方の場合、同じ職種でもいろんな会社で働いている場合、
様々な職種を経験している場合など、非常に多くの経験をされている方が多いかと思います。
しかし、ただ経験しているというだけでは残念ながら企業に対するアピールにはなりません。
特に最近は派遣社員の人数が非常に増えてきており、転職で正社員雇用を目指されている方も多いです。
そういった同じ状況の人たちと差別化を図るには、
より日々の業務をどう過ごしていたのかという内容を伝えなくてはいけません。
そのため、
先ほどの2-2の項目の振り返りはより時間を掛けて行っていただく必要があります。
「どのように努力してきたのか」
「どのような工夫を行ってきたのか」
これらを上手く職務経歴書に盛り込むことことで、他の応募者と差別化を図ることができるでしょう。

勤務意欲を伝えることも大切です。
「限られた職務しかできない派遣ではなく、会社の一員として、大きな範囲で業務に携わりたい」
「責任感のある業務に就き自分を成長させたい」
など、今後の意欲を上手く伝えていきましょう。
3.職務経歴書の書き方
さて、ここではようやく職務経歴書の書き方についてみていきます。
どういった形式で書くのか、重視するポイントなど、掘り下げてお伝えしていきます。
3-1職務経歴書の形式を選ぶ
職務経歴書には大きく分けて2つの書き方があります。
編年体式とキャリア式です。
それぞれ特徴があるため、自分の経験によって使い分けてください。
それぞれの特徴についてみていきます。
【編年体式】
編年体式は長年同じ業務に携わってきた人に向いている形式です。
経歴を古いものから順に記入する書き方で、この形式が最も一般的。
入社、異動、昇進、退職など見出しに沿って職務内容を記入していくものになります。
順番に見ていくため、習熟度をアピールしやすい形式になります。
初めて職務経歴書を作成する方はこの形式の方が書きやすいためオススメです。
時系列に沿って書けるため頭で整理しながら書くことができます。
【キャリア式】
キャリア式は幅広い経験がある方に向いている形式です。
時系列ではなく職務内容ごとに経歴をまとめる書き方になります。
構成としては、経歴を要約し職歴(入社、異動、昇進、退職など)と職務内容ごとの詳細になります。
同じ業務経験であれば、違う部署や別の企業の経験でもまとめて記入できるメリットがあります。
経験した業務を分かりやすく書けるため、
経験した内容が幅広い方や専門スキルをアピールする必要のある方はキャリア式がオススメです。
文章での説明だけではイメージしにくい部分があるかと思いますので、
一度それぞれの形式のサンプルを見て参考にしてください。
3-2書くときのポイント
【職務経歴書の枚数】
職務経歴書は2枚がベスト。
1枚だと少し味気なく、3枚以上書くと分量が多くなり担当者が読みづらくなります。
「職務経歴書の枚数は2枚!」と覚えておきましょう。
【企業のニーズを考える】
自分のスキルや経験をアピールすることだけを考え、
企業側のニーズを満たしていない内容では意味がありません。
意欲だけを伝えるのではなく、
しっかりと企業のニーズに直結した内容で作成することを心がけてください。
当然、企業の業界や職種によって求められているものが変わってきます。
そのことを踏まえて職務経歴書を作成するようにしましょう。
営業職に応募するのに、エンジニアでの経験をアピールしてもあまり効果はありません。
しっかりと企業や職種を事前に調べ、
必要とされているものが何なのかを具体的にイメージするようにしましょう。
3-3職務経歴書に書く内容
ここでは、実際に職務経歴書に書く内容についてみていきます。
職務経歴書だからと言って、
何も難しい内容を書かないといけないというわけではありません。
中身は当然重視されますが、書く内容(項目)については割と基本的な内容です。
派遣社員の方の場合、
通常の書き方と若干違う点がありますのでその点に関しては事例を用いてお伝えしていきます。
項目 | 内容 | 注意点 |
冒頭 | 日付 | ○○年○月○日現在と書きます。年号は統一するようにしてください。 |
氏名 | 名字と名前の間は少し空けます。 | |
職歴関連 | 応募職種 | 具体的な応募職種がある場合は、最初に記述しましょう。営業職や事務職のように記入してください。 |
会社概要 | 企業名・資本金・従業員数・年商・事業内容を書きます。不明な場合は調べるようしましょう。 | |
職務経歴 | ○年○月配属(異動、、退職など)職務内容、実績、取り組みなどを分かりやすく簡潔に書きましょう。職務内容、実績については3~5行程度にまとめましょう。 | |
スキル | 資格・スキルなど | 職務に関連した資格やスキル(PCスキルや語学力など)を書きます。企業に対してアピールにならないものは記入しなくて大丈夫です。 |
アピール項目 | 志望動機・自己PR | 履歴書でも書く内容になりますが、全く同じ内容にならないように注意しましょう。似た内容だとしても、具体的な経験やエピソードを付け加えるなどして説得力を増すようにしてください。 |
派遣社員の方の場合、職務経歴の項目に注意が必要です。
通常は、
平成22年 6月 株式会社○○ 入社 営業部門 配属 となりますが、
派遣社員の方の場合、
平成22年 6月 株式会社○○に派遣登録
6月 派遣社員として●●株式会社 営業部門にて勤務開始
上記のように記入しましょう。
派遣先が変わった場合は退職の記述を記入する必要はありません。
登録している派遣会社(派遣元)を変更した場合のみで大丈夫です。
以上の項目について具体的にわかりやすく書くことを心がけてください。
次では、書く項目の中で採用担当者が重視しているのはどこなのかを見ていきます。
3-4職務経歴書の中で重視されているポイント
応募者が多い場合、採用担当者の方には職務経歴書を細かく見ている時間はありません。
その場合、残念ながらせっかく力を入れて書いたところが読み飛ばされる可能性があります。
当然、すべての内容をしっかりと書くのが理想的です。
しかし、重視されているポイントを把握しているのとそうでないのとでは、
転職の成功率が大きく変わってくるでしょう。
転職サイトDODAが中途採用担当者1,000人に「応募書類で重視するポイントについて」、
アンケートを取っていましたのでそちらの結果を載せておきます。
<応募書類で重視するポイント>
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
営業系 | 経験 | スキル | 年齢 | 志望動機 | 仕事の成果 |
企画・管理系 | 経験 | スキル | 年齢 | 志望動機 | 自己PR |
IT・通信系 | 経験 | スキル | 年齢 | 仕事の成果 | 志望動機 |
建築・土木系 | 経験 | スキル | 年齢 | 資格 | 志望動機 |
化学・食品系 | 経験 | スキル | 年齢 | 志望動機 | 資格 |
電気・機械系 | 経験 | スキル | 年齢 | 志望動機 | 資格 |
販売・サービス系 | 経験 | 年齢 | 志望動機 | スキル | 自己PR |
金融系 | 経験 | スキル | 仕事の成果 | 資格 | 年齢 |
クリエイティブ系 | 経験 | スキル | 年齢 | 仕事の成果 | 志望動機 |
参考元:URL https://doda.jp/guide/saiyo/007.html
どの職種でも圧倒的に多かったのが経験になります。
そのため、特に職歴に関する項目はより具体的に書く必要があるでしょう。
是非、ご自身が希望している職種の項目を参考に職務経歴書を書いてみてください。
4.まとめ
職務経歴書は非常に重要な書類です。
応募先のことを考え、どうすればアピールできるのかを念頭に置いて作成していきましょう。
派遣社員として培ってきた経験やスキルは大きな財産です。
それを上手く伝えるためにも振り返りの作業はしっかりと行うようにしましょう。
面接を見据え、
書き方のテクニック的な内容よりも自分の言葉で自分の想いを伝えることを意識してください。